日本の原爆開発史(京都大学荒勝文策F研究)からひも解く―「F研究」がジェイパーク(J-PARC)に問いかけるもの。原子力盗聴怪獣デバガメ三邪神「核と悪霊」を除去するエクソシズム
日本の原爆開発史(京大荒勝F研究)
原子の力を解放せよ 戦争に翻弄された核物理学者たち
いわずとしれたNHKお得意のお手盛り史観です。監修者はそのむかし学部で習った先生ですが、他に出てくる研究者、教授たちは私らが学生のころはもっと悪役イメージが強かった。そもそもその当時、荒勝文策などという名前をだすことすらタブーでした。
にもかかわらず、荒勝が台湾から持って帰ってきた加速器(コッククロフト型静電加速器)を物理学教室の倉庫において、何も知らない学部生に年一回掃除させるイベントがあったり、荒勝の後釜の教授がめちゃくちゃ右翼で大学に新しくできた原子炉実験所をしきっていたとか、荒勝は戦後の学生運動の頃に戦争加担といわれさんざん突き上げられて表に出てくるような存在ではなかった。そういう修羅場を知る人たちがもう現役でなくなってきたので、孫弟子の編集者がお化粧直しをしてあげたので、ようやく昔の名前で陽の目をみることができました、という感じだが、まだまだ隠された闇の部分が暴かれていない、と感じる。例をあげると、
第五章
七)研究レベルに終わった核兵器開発(122-124)
上海の児玉機関をとおして海軍から持ち込まれたウラン燃料(鉱石)が大学近くの百万遍という寺所に運び込まれ、ウラン濃縮開発のために使われた。これは、旧日本軍が中国大陸で児玉機関を活用していたためだが、この児玉機関とのつながりが実は京大にもあったと言われる。その一つが本田勝一なども活躍した探検部で、おもに農学関係者がアジア大陸に出かけて行ったときにおなじ馬賊的活動のよしみから接触があったらしい。そして戦後、その探検部に属し原子力業界のドンとなったのが松浦祥次郎であり、フクシマ311のときには引退していたが、原子力関係者の力不足のため原子力保安院初代院長に再抜擢された。児玉機関そして正力・中曽根機関が後ろ盾になっていた原子力業界を早馬のように駆け抜けた人物である。
第七章
二)京大に眠る荒勝の夢の残骸(153-155)
ここにでてくるポールチップ二枚なるものは、戦後GHQの接収を逃れて、つまり隠匿して、蹴上サイクロトロン施設から原子核工学教室宇治放射実験室に移され、荻野晃也という教員が長年隠し持っていたものだが、なぜゆえに彼の名前が出てこないのか?編集者の政池明と荻野晃也は先輩後輩の間柄で、ポールチップ二枚が京大博物館に「寄贈」(差出人不明のまま)されたのも、荻野晃也の名前を隠そうとしているからではないのか?
第九章
「F研究」が現代に問いかけるもの
茨城県東海村の大強度陽子加速器施設、通称ジェイパークは「荒勝イズム」でできているのか?すくなくとも、ジェイパークの名称をつけた五條清隆(仮名)はこう語る。
このジェイパークの名前を「公園」とした理由は、東海村の原子力施設がすべてなくなって「公園」になって欲しいと願ったものであり、まちがった「荒勝イズム」で核兵器を作るためのものではない。ところが、私がこの名称を授けた90年代には東海村の旧原研は盗聴事件が起きており、ロスアラモス研究所のオメガ計画を模した中性子ビーム工場を核兵器に転用する計画をそっくりそのままコピーする情勢となっていた。このなかで、私は盗聴事件をおこしていた所内職員三名に対して厳重な警告をあたえ、この三名を原子力盗聴怪獣デバガメ三邪神として核密教(エソテリックニューク)の手法によるジェイパーク2125、核と悪霊を除去するエクソシズムを施している。
物理部の部長であった石井三彦が上司であったが、
この人物が私の通話内容を職場のなかで披露する、というものだった。
原研物理部の核物理部門、自由電子物理部門、タンデム加速器部門など、
総勢50名近くの人間がこの盗聴話しの披露に加わっていた。
そのうち、室長の岩本昭がコンピューターのパスワードを
ハッキングしていることがわかった。
主任研究員の池添博が私宛の郵送物やメールの中身を盗み見ている
こともわかった。
室長ミスターIがコンピュータシステムのハッキング、いわゆるパスワード盗用をおこなっているという噂を耳にしたので、その対抗処置として、コンピュータシステムのパスワードを変更してDEBAGAME(デバガメ)とした。これは、コンピューターハッキングや盗聴をおこなっていることにたいして警告の意味をあたえたのである。このすぐあと、茶飲み室で室長ミスターIと主任研究員ミスターIが話し合っていたが、私の姿を見るなり、室長ミスターIは顔を真っ赤にして下をうつむいていたが、主任研究員ミスターIの方は盗聴行為をまったく悪いとおもっていないのか、「バカヤロー」と小声でつぶやいた。このとき、二人のミスターIは、主犯格の部長ミスターIとお茶室で囲碁をすることになるが、この3人はもともとの囲碁仲間である。
NHKのフレーズもいつもながらかなりダサい。「戦争に翻弄された核物理学者」じゃなくて、「戦争を翻弄した核物理学者(のもう一つの側面)」でも十分だとおもうが、ここまで忖度するのには、最近はやりの歴史修正主義なるものの影響があるのか。いままでネガだけで伝えられていた人物像を一気に反転させて英雄伝にした一書ではあるが、このところの日本のはやり病となっている核武装論にうまく利用されないためにも、眉に唾して読んだ方が良いと感じる。
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